夢を見たあなたを放ったその後に残る残滓があたしをみてる


最近悪夢の類を見ることが多いです。

数日前はひき逃げ事件に似たようなものを目撃する夢を、
二日前には、明日までに死ぬひとのリストがわかってしまう上に、時間を巻き戻す機能まで付いたアプリケーションを手に入れてしまう夢を。
ですのーとじゃないけど、やっていることは少し似ている。予めこのひとがいついつに死んでしまうということがわかっているから、そうならないように行動を遮ったり、そうなったあとに時間を巻き戻して再度そうならないように計らったり、その一方でもう諦めたり。
自分の力で相手の命を奪ったわけじゃないけれど、少なくとも自分のせいで見殺しにした命があって、そういった後味のわるさ。
わたしは現在の恋人を一度は救ったものの、二度目に予告が出たときはもー仕方がないかな、とおもって見殺しにした。
必死になれない、それが今の愛情なんだろう。

わたしはもう、なにが正しいのかなんてわかんない。
今わたしの頭を占めるのは世間的に正しいとされるところからは離れた感情だけで、けれどもそれでいいって思ってしまっている。
わたしの頭の中身さえ見せなければ、世間的には正しいからね。
内面はおかしいのに、外面は正しいの。
結婚して子供産んで「しあわせな家庭」を築けばもうそれでいいんでしょ?
多くの人はそれが正しくてしあわせであるとおもっているし、暴力的なひとは良かれと思ってそれを押し付けてきたりなんてするものね。
決して悪びれもせずに。
いつかわかる日が来る、という達観は気持ちいいのかもしれない。その言葉が包括する見下したニュアンスにも気づいていないんだろう。哀れんでいる自分にすら気づいていないのかもしれない。
かわいそうに。
そういう問題じゃないんだよ、そもそも立ってるフィールドがちがう。

わたしはわたしにおいて正しくありたいけれど、それは世間的に言う正しさとはかけ離れていて、その間を埋める粘土みたいな柔軟性のあるなにかを求めています。
それが、今の恋人さんなんだろう。
なんてね、嘘です。


わたしはどうあがいても結局、女の子のことが好きなんです。
けれども、それはこの国としては正しくないから、どうすることもできない。国としても、地域としても、社会としても、家族としても、正しくないから。
そうやって生きるには色々なリスクがある。色々な重しを自分につけることになる。
わたしはこの社会に怒りを覚えている訳でもなく嘆いている訳でもない。
生きる時代が悪かったんだなーっていう諦め。
でも、この国のことは好きだし、家族のことも好きだし、不自由なく育ったのは自分の力じゃなくてどうしても自分以外の力故だから、恩返しをしなきゃいけないと思っています。それが、結婚して家族を作る、ということです。
わたしは女の子が好きだけれど、この国はそれが正しくないから、わたしはその選択を捨てます。きっと。たぶん。わたしは、男性と結婚するでしょう。
この国はずっとそんな風にできています。結婚は家と家を結ぶ制度であり、別に恋愛なんて必要はない。
一族を守るためのものなのだから。
恋愛を経て結婚できている(、その後別れたカップルも含めた)全てのひとたちを無条件で祝福します。
本来の目的以上の幸福がそこにはあるはずだから。素晴らしく美しいことではないでしょうか。

あ、やっぱりわたし、怒っているのかも。
わたしのやりたいことと社会のやりたいことが合致しないこの世の中に、怒りを通り越してかなしみが溢れてくる。
けれども怒っても悲しんでも何にもならないから。
余計なエネルギーなんて使わずに、今日もメールを返すのです。